将来、法曹を目指す人。司法試験を受ける資格を得る方法はいくつかありますが、そのなかでも「ロースクール(法科大学院)を卒業する」というのが、割とメジャーな方法の一つです。
しかし、このロースクール、実は入学試験が結構大変なことも知られています。それに、法学に関する教科書や問題集は、たくさん出版されすぎていてよくわからない!
そんなあなたのために、ロースクール入試に必要な科目や、本の区分などをふまえ、各科目で選りすぐった最強の9冊+1をご紹介します!ぜひこれを参考にして、ロースクール入試のための勉強を頑張ってみてください!
どんな勉強が効果的なのか
まず、ロースクール入試においては、以下の科目が必要になります(首都圏の主要なロースクールの出題状況も付記しています)。
ロースクール(既習者試験)科目
- 1. 憲法 (中央、早稲田、慶応、東大、一橋)
- 2. 民法 (中央、早稲田、慶応、東大、一橋)
- 3. 刑法 (中央、早稲田、慶応、東大、一橋)
- 4. 民事訴訟法 (中央、早稲田、慶応、東大、一橋)
- 5. 刑事訴訟法 (中央、早稲田、慶応、東大、一橋)
- 6. 会社法 (中央、慶応、東大)
- 7. 行政法 (東大)
さて、これらの科目の勉強を全部こなすのは、正直至難の業です。では、どのように勉強していけばよいのでしょうか。ここで大切なのは、「いくら知識があっても、答案が書けなければ意味がない」ということです。
上記7科目の試験を解くために必要な知識は、かなり膨大です。しかし、知識だけため込んでいっても、テストを解くことが出来なければ意味がありません。そのため、答案に書く形で知識を頭に入れることが重要になってきます。
そこで重要になってくるのが、なるべく答案例付きの問題集(演習書)を選ぶということ。なかには答案例がついてないものもありますが、その場合は、出来るだけ解説が丁寧な演習書を選ぶようにしましょう。
どの種類の教材が効果的か
教材の種類は?
先ほどお伝えしたように、ロースクール入試の勉強で一番大事なってくる教材は、問題集(演習書)です。そもそも入試勉強に使う教材としては、以下の3種類があります。
教科書
皆さんいちばんなじみがあるのは、やはり教科書でしょう。これは、体系的な理解を目指すために書かれていることが多いため、網羅的です。一方で、最初からコツコツと読んでいくというのは、実はあまり効果的ではありません。辞書的に使うのが、一番効果的です。
問題集(演習書)
これは、その名の通り、問題がたくさん載っているものです。試験と同じ形式で演習していくことで、本番の点の取り方を把握することが出来ます。この形式の教材が、一番大事です。
判例集
本学の勉強に欠かせないのが、判例集です。ロースクール入試で出題される問題も、判例と共に考える作業が必要になります。地理の時間の地図帳的役割と考えるとイメージしやすいでしょうか。
誰が書いてるのかという視点
また、これらの教材は、誰が書いたのか、という視点での分類も大切になってきます。なぜかというと、誰が書いたかによって、その教材の性質が異なってくるからです。著者の種類には、以下の二つがあります。
学者(採点者視点も学べる)
これはいわゆる大学やロースクールの先生です。実際の入試を作り、採点するのは、この先生たちです。なので、学者の先生が書いた教材では、採点者視点の解答の書き方を学ぶことが出来ます。
学者以外(弁護士、予備校講師)
一方これは、弁護士等、実際に法曹として活躍している方や、予備校講師土として試験の解き方に熟知した方が書かれているものになります。学者の先生が書いたものよりも、試験を解くことに特化しており、受験者視点の教材ということが出来るでしょう。
おすすめ!最強の9冊はこれだ!
では実際に、科目ごとのおすすめの問題集をご紹介します。先に説明した、誰が書いているのか、という視点に加え、答案例が付いているのか、という視点も交えて、紹介していきます!
憲法
合格思考 憲法
これは問題集で、司法試験合格者(予備試験合格者)の方が書いているものです。答案が付いています。憲法という科目は、話が大きく抽象的でもあることから、教科書や判例集を読んで勉強するのが難しいという側面があります。そのため、問題形式で勉強することが特に重要になります。
行政法
基礎演習行政法
これは問題集で、ロースクールの先生が書いた本です。行政法の分野は、弁護士で活躍されている方の中で、これを専門としている人があまりいないため、ロースクールの先生が書いている本の方がおすすめです。基本問題が多く収録されており、幅広い分野が網羅されています。この問題集には答案例はついていないのですが、行政法は学部時代に習うのが高い年次、もしくは選択必修的な扱いであることが多いため、出題されるのも基本的な問題が多めです。そのため、この本でしっかりと勉強していけば、確実に点数を取ることが出来るでしょう。
民法
合格思考 民法
これは問題集で、司法試験合格者(予備試験合格者)の方が書いた本です。答案例が付いています。この本のいいところは、民法の考え方が、よくわかるところです。「法律」と聞くと、難しいイメージを持ってしまう人も多いかと思います。しかし、実際の法律は、社会を生きる一人ひとりがもつ課題を解決するためあるものです。筆者のいう「『生の主張』を考えろ」というこの考え方は、民法だけでなく、様々な法律を考える際に必要となる視点です。その意味で、ロースクールでこれから法律の勉強を更に深めていこうとする人たち、全員に読んでほしい本でもあります。
Law Practice 民法Ⅰ・Ⅱ
これは問題集で、学者の先生が書いた本です。網羅的で基本問題が充実しており、適度な難易度で、スムーズに勉強することが出来ます。。答案例はついていませんが、解説が丁寧なので、自力で答案例が作れるところがいいところです。最近改正された民法にも対応しています(対応している問題集は、まだそんなに多くない)。民法のシリーズは三冊ありますが、1と2だけで大丈夫です(三冊目はロースクール入試では出題されない論点なので)。これを何周もしていけば、合格する力が確実につきます!
民事訴訟法
ロジカル演習 民事訴訟法
これは問題集で、学者の先生が書いています。普通は学者の先生が書いた教材は、答案例が付いていないことが多いのですが、この問題集に関しては、答案例がついています。学者が答案例が書くことは、いい意味でとんでもないことで、いかにこれが学生想いの本かを表しています。学者による「採点者視点」も、答案例による「受験者視点」のどちらも含んでいます。
商法
LAW PRACTICE 商法
これは問題集で、学者の先生が書いています。これも行政法のときと同じで、試験に出るのは基本問題が多めの科目になります。そのため、この教材も基本問題が多く収録され、幅広く網羅的です。なお、商法と言っても、実質的に会社法の問題が出題されることになります。
刑法
刑法演習ノート
これは問題集で、学者の先生が書いています。学者の先生が書いた本ですが、これは答案例が付いています。なので、学者による「採点者視点」も、答案例による「受験者視点」のどちらも含んでいます。各章のタイトルが(ある意味)面白いことでも有名です。
刑事訴訟法
エクササイズ刑事訴訟法
これは問題集で、学者の先生が書いています。学者と言っても、元検察官の方が書いていますので、実際の現場における法の運用の視点がたくさん入っています。これは「答案例」はついていないのですが、解説が答案例のような言いぶりになっているので、実際を答案をどう書けばいいのかを、そのまま学ぶことが出来ます。ロースクール入試の答案は、「問題提起」→「規範定立」→「当てはめ」の流れで書くことがルールになっています。そのなかで、「当てはめ」の部分を深く説明してくれる問題集は、実はあまりありません。しかしこの本は、著者が元検察官であることもあり、「当てはめ」の部分をどう記述すればいいのかというところを、しっかりとスポットを当てて説明してくれています。全体的な記述に冗長性はなく、必要なことをスパッと説明してくれる様は、非常に勉強がしやすい本になっています。
番外編
法学部、ロースクール、司法研修所で学ぶ法律知識
番外編として、こちらの本もおすすめです。これは、法学部、ロースクール、司法研修所で学ぶ法律の知識などを紹介してくれている本です。実際のロースクールの勉強が、学部のころの勉強とどのように違うのかを実感しながら理解していくことが出来ます。またこの本は、ロースクール在学中など、これからの法学人生のお供にもなります。受験勉強中などに、ふと「なんでロースクール目指してんだろ」と思ってしまったときなど、勉強にやる気を出したいときに読んでみてください!
さいごに
ロースクール入試は、科目も多く、一つの科目をとっても、やることがとても多いです。なので、いかに効率的に勉強していくかが鍵になります。ぜひみなさんも、ここで紹介した問題集も活用しながら、ロースクール入試に向けての勉強を、頑張っていってください!
ロースクール入試にも必要になる英語試験(TOEFLやTOEIC)の対策について、↓の記事で紹介しています!ぜひこちらもご覧ください!
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